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カルロス・トシキ→岡村靖幸→尾崎豊⑥

高校生活で印象に残っていること。

入学してすぐ、ある部活を始めました。

同じ中学出身の女友達二人と

私との三人で入部しました。

入部してすぐ私は

その 一緒に入部した 女友達二人から

シカトされました。

女友達二人のうちの一人は

大の親友でした。

少なくとも私はそう思っていました。

シカトの理由は

私が部活の先輩に

目をかけられたからだと知りました。

私は部活を辞めました。


バイト先に他校の男の子が入ってきました。

それまでバイト先に男の子はいませんでした。

その男の子はバイトが終わると

私を家まで送りたがったり

私の高校に友達がいるらしくて

その友達に

私のことをあれこれ聞き出しているらしく

少し困っていました。


そのうち私は ある理由で

急にバイトを辞めることになり

男の子にそのことを告げることなく

辞めました。


それからしばらくして

私は入院していました。

脚を痛めて手術をすることになったのです。

病院で退屈な時間を過ごしていると

高校で同じクラスの女友達が

やってきました。

その子は私と同じ所で

バイトしていた子でした。


「あいつ来てるんだけど。

中に入れてもいい?」


突然言うので、よく意味が解らず

廊下の方を見ると

あのバイトの男の子が

不自然に下を向いて立っていました、、、

真っ赤なバラの花束を握りしめて。


彼は高校生であるにも関わらず

タバコは吸うし

学校で禁止されている

原付バイクに乗るし

夜は居酒屋でもバイトしてるし

けれど

バイトの仕事ぶりは真面目で

学校の勉強も手を抜いていないようで

テニスも一生懸命やってて


当時の言葉で言うなら

軟派なのか 硬派なのか

よくわからない人でした。


ただ バラの花束を握りしめて

不自然に下を向いている姿に

少し心が動きました。


中に入ってもらって

花束を受け取って

綺麗だなって バラを見ていたら


「お前がバイト辞めてから

何度も家に電話したんだけど

取り次いでもらえなくて。」


彼が ボソッと つぶやくように言いました。



私はその言葉を聞いた途端に


彼を好きになったのか

彼を好きになろうと決めたのか


どちらだったか覚えてないけど

そんな気持ちになりました。


私の母が 彼からの電話を取り次がず

そのことを私に隠していたことを知り

私が彼を好きになったら

母は どれだけ嫌な思いをするだろう

そんな思いが一瞬 頭を過りました。


母への仕返しのような気持ちが

なかったとは言いきれません。


でも それだけではなく

彼の持っている何かに

惹かれはじめてもいたと思います。

程なくして

私は彼と付き合い始めました。


休みの日は バスに乗って遠出したり

普段は 放課後 公園で待ち合わせをして

公園の階段に並んで腰かけて

他愛もない話をしていました。


私は 家族ではない男の人が

私のことを好きだと言ってくれて

私を必要と思ってくれている

そのことに

とても気持ちを支えられていました。


劣、劣、劣、数え続けて

私に染み付いてしまった劣等感が

少しずつ消えていくような

そんな気持ちでした。

彼のことをどれだけ好きだったか

そう聞かれたら

よくわからなかったと思います。


結局 楽しい時間は

そんなに長くはありませんでした。


彼は今の関係から

もう少し先に進みたいと言うようになり

私は どうしても

それができませんでした。

こんな 危なっかしい

不安定な

16歳と17歳という年齢の男女が

体の関係を持つことは

私には 絶対に考えられませんでした。

意味が解りませんでした。

話し合っても

平行線を辿るだけでした。


そして どちらが言うともなく

私たちは別れました。

高校二年の秋でした。


続く